東京・山谷、増える要介護者 行き場なく長期滞在に ~ 介護と福祉のニュースArchives

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東京・山谷、増える要介護者 行き場なく長期滞在に

統計情報 H 22.04.26 (月)

住居がない人などに一時的な滞在場所を提供する「無料低額宿泊所」に、介護が必要な高齢者が長期間入所する例が目立ってきた。満足な介護サービスを受けられない人も少なくない。制度の目的外の利用形態となっている施設に、行き場のない高齢者が身を寄せている。

東京・山谷の「山友荘」には、高齢者から「病院から退院を迫られたが、行くところがない。泊めてほしい」という依頼が相次いでいる。

戦後まもなくできた日雇い労働者向け簡易宿泊所。かつては「ドヤ」と呼ばれていた。NPO法人「山友会」が借り上げて改装し、昨年4月から無料低額宿泊所となった。食堂や手すりのついた風呂も備える。

本来は、自立できる生活保護者らに一時的に住まいを提供し、生活再建を支援する施設だ。今は20部屋余りに高齢者20人が介護を受けながら暮らす。利用料は生活保護費の範囲内で収まる月14万円程度。入所者の手元に残るのは数千円だが、食事も介助もつくので生活には困らない。施設の運営は利用料でほぼ賄われているが、改装費や修繕費などは寄付金が頼りという。

川崎市川崎区の「伊勢町ハイツ」も同様の料金で利用できる。50~90代の男性入所者26人は認知症の人が多く、食事や排泄(はいせつ)など日常生活に介助が必要な人ばかりだ。

運営するNPO法人「SSS」は首都圏の約130カ所に無料低額宿泊所を設け、4千人以上の入所者を抱える。長期入所で手助けが必要な人が増え、2007年3月、ヘルパー資格のある職員が勤める「介護付き」の伊勢町ハイツを設けた。無料低額宿泊所は「生活困窮者の一時的な住まい」というのが本来の趣旨だが、入所者の半数以上が2年以上滞在する。

伊勢町ハイツの4畳弱の個室で暮らす男性(63)は3年前に脳梗塞(こうそく)で倒れ、左半身にまひが残る。事業に失敗し、生活保護を受けて昨秋からハイツに移った。「こんな老後、ひとごとだと思っていた」と漏らした。

川崎市の別の無料低額宿泊所では、男性2人が入所後に認知症になった。介護保険の居宅サービスは受けられない。運営するNPO法人の理事長は「排泄の処理を他の入所者がしている」とこぼす。

低料金で長く入れる特別養護老人ホームはどこも満員。有料老人ホームは料金が高い。低所得でも介護を受けられるのは、09年3月の火災で10人が死亡した群馬県の「静養ホームたまゆら」のような法定外の施設しかない。ここも入所者の多くは、東京都内から送られていた。

無料低額宿泊所は社会福祉法上、自立生活ができる低所得者向けの施設だ。東京都の複数の区は無料低額宿泊所について「あくまで一時的入所施設。介護保険の訪問介護の対象となる『居宅』とはみなせない」との立場。都も厚生労働省も数や実態を正確に把握できておらず、介護の公的補助もない。

無料低額宿泊所の実態に詳しい鈴木亘学習院大教授(社会保障論)は「貧困世帯の担当と介護の担当が役所では縦割りで別々に動き、実態に即した態勢が取れていない。介護つき無料低額宿泊所のような存在を国の制度に乗せ、公費で助成するのが現実的な策だ」と話している。

引用元記事 : 朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/0424/TKY201004240200_01.html

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