近畿の介護周辺需要を取り込み 異業種含め事業展開増加
H 22.10.29 (金)
高齢化進展で急拡大が見込まれる近畿の介護需要を取り込もうとする動きが、幅広い業種に広がっている。ロングライフホールディング子会社のエルケア(大阪市)は、デイサービスとフィットネスを組み合わせた複合施設を展開。グンゼスポーツ(兵庫県尼崎市)や日本新薬など異業種も介護関連の事業を強化する。成長性がある内需産業の柱として育てようとする企業が増えている。
近畿2府4県は65歳以上の高齢者の増加速度が全国平均を上回ると予測される。国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計によると2015年の65歳以上の高齢者人口は10年比で15.9%増の522万人に達する。全国の高齢者人口の約15%を占める巨大市場だ。
将来の介護予備軍である40~60歳代の女性を囲い込もうと知恵を絞るのが、在宅介護事業を手掛けるエルケア。デイサービスとフィットネスを組み合わせた新店舗「デイサービス塚口」を11月上旬にも尼崎市にオープンする。当面は10店舗まで拠点を増やす。
介護関連施設に送迎する中高年女性によるフィットネスの利用が期待できるほか、デイサービスの顧客も利用できるようにする。他の介護関連施設にない付加価値を付け、競争力を高める。
介護関連施設の利用増を見越した有料老人ホームの増設も加速。ベネッセホールディングス子会社で有料老人ホーム最大手のベネッセスタイルケア(東京・渋谷)は来年3月までに大阪市、神戸市などに有料老人ホームを5カ所新設する。これまで同社の施設は首都圏中心だったが、関西圏の拠点数を2割強増やす。
チャーム・ケア・コーポレーション(大阪市)も来春に京都市内に介護付き有料老人ホームを新設する。12年までに現在800程度の室数を1000室に増やす計画だ。
独自のサービス提供ノウハウを持つ異業種も、介護関連の需要に熱視線を注ぐ。
グンゼスポーツは高齢者向けのサービス事業を強化する。スキーのストックに似たポールを両手に持って歩く「ノルディックウオーキング」の実施店を現在の数店から拡大。従来より短時間で無理なく運動できるメニュー開発も進める方針だ。
医療関連用品の販売、リース大手のワタキューセイモア(京都府井手町)は、京都府、奈良県、大阪府、三重県の介護施設や病院向け洗濯事業を充実させる。 22億円を投じ、来年5月に京都府城陽市に洗濯工場を新設し、処理能力を倍増。シーツや枕カバーなど介護関連の洗濯需要に応える。
日本新薬は高齢者がスプーンで食べやすい流動食の原料になる粉末状たんぱく質の事業を強化する。高齢者の増加で流動食の市場が拡大すると判断。今年に入って営業担当者を増員したほか、体内で吸収しやすいようにミネラルの組成を変えた素材の開発を急ぐ。
介護サービスを手掛けるケア21は調剤薬局事業に参入し、10月に大阪市に1号店をオープン。調剤薬局チェーンのプチファーマシスト(大阪市)と設立した共同出資会社「ケア21薬局」を通じ、同事業を展開する。近隣にある同社の介護関連施設の利用者も顧客に想定し、相乗効果を狙う。
総務省調査によると、世帯主が65歳以上の貯蓄額の平均は2388万円。4000万円以上の世帯は17.1%を占める。民間企業による介護関連ビジネスの行方は、1500兆円ともいわれる日本の個人金融資産の動向とも重なり合っている。
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